美大進学を迷っている方へ【就職/受験対策/志望の決め手を解説】

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こんにちは、リクです。

今回は、
美大進学を迷っている方へ【就職/受験対策/志望の決め手を解説】
というテーマでお話しようと思います。

こんな方にオススメの記事です。

美大に興味があるけれど、就職できるか、将来が不安…。
行きたいと思っても、入るのが難しそう。
実際に合格した人は、どんな受験対策を、どれくらいしたんだろう?
また、自分と同じように進学を悩んだ人は、
最終的にどんな理由で美大に行くことを決めたんだろう?

この記事を読むことで、

  • 美大の就職事情について
  • 入学するまでに必要な受験対策
  • 進学を決める際に参考にして欲しい考え方

これらがわかります。

記事の信頼性としては、僕自身の実体験に基づいていることが挙げられます。
(田舎の予備校から一浪して武蔵野美術大学に合格、卒業しました。)

先に就職事情などが知りたい人が多いのではないかと勝手に予想しているので、

  • 美大の就職事情について
  • 入学するまでに必要な受験対策
  • 進学を決める際に参考にして欲しい考え方

という、時系列とは逆順でご紹介します。

美大の就職事情

結論:就職は難しくない

まず結論からお話すると、
美大卒でも就職できます。
ちゃんと就職活動、準備をすれば、就職が厳しいと言われるこの時代にも、
十分就職することができます。
(いうてもまだ売り手市場ですしね…!)

ただ、失礼ですが美大生やっぱり変わった人の割合多いので…笑
(僕も美大卒なので、自分も含めているということでご容赦ください。orz)

なかには就職活動の開始時期を知らず、
「希望の会社のエントリー期間終わってた」
みたいな人もいます。(実話)

さすがにこういう人は就職難しいかもですが、
基本的には、ちゃんと活動した人で就職先がなくて困っているという話は聞きません。

美大卒業生の就職率(公式データ)

出展:武蔵野美術大学

こちらはムサビが公開している、
2018年度の卒業生の進路データ。
就職率は80~90%ほどとなっていますね。
その他の人たちは作家活動をしたり、院進学したり…という方が多いようです。

参考:
https://www.musabi.ac.jp/career/alumni/data/

デザイナーになった人はどのくらい?

美大(のデザイン科)を出て就職した人が、
全員デザイナーになったわけではありません。

先ほどの参照先から、別の表を見てみます。

出展:武蔵野美術大学

デザイナーが専門職であるのに対し、
事務職や企画、営業など、
いわゆる一般的な職種へ就職する人たちも数多くいます。
ただここは、一口に美大と言っても、
武蔵美や多摩美、東京芸大といった
難関美大卒かどうか、また同大学内でも学科によって傾向が分かれます。

デザイナー就職が多い学科はこちら(武蔵野美術大学の場合)

  • 視覚伝達デザイン学科(デザイナー就職多め)
  • 基礎デザイン学科(デザイナー以外にも作家、カメラマンなどマルチな進路傾向)
  • デザイン情報学科(デザイナー就職多め。web系に進む人が他学科に比べ多い)
  • 工芸工業デザイン学科(プロダクトデザイナー。筆者体感的には、作家志望も多い)

主な就職先

クリエイティブ系

大手広告代理店をはじめ、制作会社、デザイン事務所、
インハウスデザイナー(メーカーなど企業内のデザイン部署所属のデザイナーのこと)
出版業界、印刷会社、スタジオカメラマン、施工会社(内装など)、
テレビ局、舞台制作会社、ゲーム業界…など様々。

総合職など含むその他の職種

会社事務、受付、企画、営業、総務など様々。
僕の同期の友人の例だと、自動車メーカーの販売スタッフ、雑貨屋ブランドの店員、
不動産販売の営業、エンジニア等に就職した人がいます。

→合わせて読みたい
(美大に行っても、デザイナーにはなれない話)

美大の受験対策

結論:難関美大は、割とハード

美大の入試難易度は割とピンキリです。
名前を書けば入れる…みたいな大学もあれば、
入試倍率が20倍近い難関美大と言われる大学もあります。
(難関美大:ここでは東京芸大、武蔵美、多摩美を指します)

僕の場合、武蔵美と多摩美は一浪して合格することができましたが、
東京芸大は落ちました!
難関美大で括られてはいますが、
東京芸大はまた一つ格が違うイメージです。

武蔵美や多摩美でも、
一浪、二浪はざらにいますが、
東京芸大は三浪、四浪もいる世界です。
多分、リアルに現役生の方が少ないと思う。

入試難度に関してよく聞く例え話としては、
東京芸大が東大、武蔵美と多摩美は早稲田、慶応にあたるイメージ…のようです。

僕自身がやったこと

上記でも何度か書きましたが、
僕の場合は一浪しています。
合格に必要な勉強期間、量は人それぞれですが、僕の場合はこちら。

  • 高校二年の4月、美大予備校に体験入学。
  • その後、土日部に入って1日約8時間デッサン、色彩構成の練習。
  • 夏休み、冬休みは1日10時間ほど通う。
  • 高校三年時も同じ感じで予備校に通う。
  • しかし、現役では志望学科に受からず。
  • 浪人生活スタート。リアルに1日12時間くらい練習。
  • 武蔵美、多摩美に合格。

合計でいくと
デッサンは約200枚くらい、色彩構成も100枚くらいは書いていたと思います。
時間にして、現役時(高二、高三)にだいたい2000時間、
浪人時にだいたい4300時間くらいでしょうか。

これらにプラスして、学科の対策も必須です。

学科の試験対策も大事

試験内容の配点を見るとわかりますが、
美大といえど学科の試験対策は必須です。
だいたいどこの学科も実技と学科の配点比率は1:1ですね。
(東京芸大は、実技ができれば受かる、という話もありますが…)

実技で90/100点取れても、学科が10/100点なら合計は100/200点で、
倍率が高いところだと残念ながら多くの場合落ちてしまいます。

しかし逆に実技が70/100点であったとしても、
学科で80/100点を取ることができれば、
合計は150/200点で、
合格の可能性はかなり高まります。

実際、浪人生として予備校に通っていた時も、
必ず学科の授業が毎朝ありました。

それほど学科対策は重視されており、
年々その傾向は強くなっていると感じます。

余談ですが、実技試験は、ある程度描ければ平気で満点がついたりします。
そこで明暗を分けるのが、学科の成績だったりするのです…

予備校の体験授業を受けてみるのがオススメ

ここまで聞くと、

うわ、やっぱ大変そうだな…
自分には無理かも…

と思ってしまうかもしれません。

大変じゃないとは言えませんし、
それなりに努力も必要ですが、
僕なんて美大予備校に体験入学するまで、
デッサンなんて一枚も描いたことがありませんでした。
美術部に入った経験もありません。

はっきり言って素人もいいところです。
予備校にいる生徒全員が天才的なバケモノ集団に見えました。

そんな人間でも、合格することができます。

持論ですが、
デッサンは訓練です。才能ではありません。
少なくとも美大入試においては、才能が求められるほどのデッサンは要求されません。

超難関の東京芸大に、多浪生が多いのも、
ある意味その証拠ではないでしょうか?
才能で決まってしまうなら、難関美大は現役生ばかりのはずです。
しかし現実はそうでは無い。
才能<訓練量です。

(浪人生に才能が無いと言っているのではなく、
入試に才能は求められない、という話です。念のため。)

ただ、独学は厳しいと思います。
プロの指導者のもと、上手な同級生や先輩のいる環境で取り組んだ方が、
圧倒的に成長は早いです。

お近くの美大予備校が体験入学をやっていないか、
「美大予備校 お住いの都道府県」で検索してみましょう。
そして、ぜひ行ってみましょう。

近くに予備校がなければ、どこでもいいので資料請求だけでもしてみましょう。
例えばこちら↓

御茶ノ水美術学院
武蔵野美術学院

おすすめのデッサン参考書

そうは言っても、いきなり美大予備校に飛び込むのは敷居が高い。
みんなめちゃくちゃ上手くて、自分だけ恥をかいたりしないか…

そんな風に思う方もいるかもしれません。
はじめは誰でも下手なのは当たり前…なのですが、
全く何も知らないでいるより、一応予習くらいはして臨むと、
いくぶん行動しやすくなるかもしれませんね。

そんな方は、この本をみておくと良いと思います。

デッサンてこういうことをやるんだよ、
こういう考え方、手順で、こんなものを描いたりするよ

ということが分かるようになっています。

ただし悲しいお知らせですが、これを読んでも上達はしません…

新しいゲームを買ったときに付いてくる取説のようなものだと考えてください。
「Aボタンで攻撃、Xボタンでジャンプができるのか〜」
ということが分かるまでのレベルしか得ることができません。

不安を感じる方にはもちろんオススメですが、
早いところ取説は読み流して、
できるだけ早く本番のゲームに取り掛かるようにしましょう。

美大進学を決めた理由

結論:それ以外にないと思えたから

ここまで読んでくださった方は、
美大進学を目指すべきかどうか真剣に迷っている方が多いと思います。

その後の人生の大きな選択になると感じているでしょうし、
親の理解も得られるかわからない。

自分は本当に美大に行きたいのか?
ほとんどの同級生とは違う進路を選ぼうとしているわけですから、
勇気の要る決断ですし、決断した結果、後悔しないとも限らない。

僕も当時色々悩んでいましたが、最終的に進学を決めた理由として、

美大にしか行きたいところが無い。
だから目指そう。
と思い、進学を決めました。

色んな可能性を見てみよう

悩んでいたときにしたことは、
いろんな大学の、いろんな学部学科紹介のページを見ることです。

社会学部、環境学部、農学部、工学部、医学部、法学部…などなど、
世の中にはどんな進路があるのか?自分が興味のある学部はあるか?
これを調べました。

自分が本当に美大に行きたいかわからない、という場合には、
こうして他と比較してみることをオススメします。

もしかすると、そこで新たな発見があり、
学びたいものが出てくるかもしれません。
それはとても幸福なことだと、僕は思います。

「学びたいと思えるものは何か」
を知ることが大事です。

そのために、
たとえ興味の無い選択肢であったとしても、
洗い出して調べてみて、
比較をしてみませんか。

その上で
やっぱり美大に行きたいと思えたなら、
あなたは本当に美大に行きたいのだと思います。

「好き」でやってる人には敵わない

なんでもそうですが、
「好き」でやってる人には敵いません。

逆に言うと、自分の好きなことをやるべきだと、僕自身は思っています。

美大は就職不安だから、と、将来が安定しそうな医学部を目指したとしましょう。
(くれぐれも、その選択が悪いとは思っていませんよ。)

ただ、一度考えて欲しいことがあります。
受験 在学 就職のステップで待っているのは、
「子供のころから医者を目指している人」
「医療で世の中を救いたい人」
=なんにせよ「医学が好きな人たち」
との競争です。

「好き」でやっている人に、
「そうでもない」自分が勝つのは、
かなりキツイと思いませんか。

「絵を描くのが嫌いな人」に、あなたは絵で負けるでしょうか?
そして仮に医学で自分が勝てたとして、その時の自分は幸せでしょうか?

どのようなことに幸せを感じるかは人それぞれですから、
どちらかが絶対に良いということはなく、どんな基準でも構わないので、
自分にとって幸せな方を選んでいただきたいな、と思っています。

また、「勝ち 負け」と何度も言っていますが、
他人との競争が全てではないことは、言うまでもありませんよね。

使い古された言葉で少し気恥ずかしいですが、
自分の人生に勝ったかどうか?自分自身の幸せを勝ちとれたかどうか?

ここが大事なことだな、と僕は考えています。

専門学校との違い

僕は専門学校に通ったことがありませんので、
専門卒のデザイナー仲間から聞いたことをもとに簡単にまとめました。
主観が多分に入っているので、ご参考までに。

美大のメリット、デメリット

  • 4年制
  • 入試難度:低〜高まで様々
  • 学費(目安):私立…年間約180万。国立…年間約50万
  • 就職率:概ね80%ほど

◼︎美大を選ぶメリット
難関美大には第一線で活躍する有名なデザイナーが教授/講師を務めている。
入試難度に学生の平均的なレベルが比例するため、切磋琢磨しやすい。
これも難関美大に限るが、大手広告代理店へのデザイナー就職が可能。
アートや建築、映像など、他学科生との交流の機会も多い。

◼︎美大を選ぶデメリット
目指す大学の入試難度によっては、浪人することもある。
学費(特に私立)が高い。
良くも悪くも学生の自主性を重視している傾向があり、
怠けてしまうとあまり得るもののない4年間になるかも。
難関美大は東京に集中しているため、地方に住む人にとって費用面で負担が大きい。

専門学校のメリット、デメリット

  • 1~4年制までさまざま
  • 入試難度:低〜中
  • 学費(目安):年間約130万。学校によりばらつきがある。
  • 就職率:概ね90%ほど

◼︎専門学校を選ぶメリット
美大に比べ、
より実務に特化したカリキュラムなため、
デザイナーとしての就職に強い。
入試の難易度が比較的易しく、申し込みすれば入学できる場合が多い。
美大(国立除く)よりも費用が抑えられる。

◼︎専門学校を選ぶデメリット
大手企業は4大卒を前提にしている場合が多く、そこへの就職は難しい。
入試という「ふるい」が無い場合、通う人のレベルはそれぞれ。
専門的知識に特化している分、
美大で学ぶデザインの本質論などについては
深く学ばない傾向がある。

まとめ

美大進学を迷っている方へ【就職/受験対策/志望の決め手を解説】

  • 美大から就職は難しくない。ただデザイナーになれるかは入学後の自分次第。
  • 受験対策は割とハード。難関美大は浪人も当たり前な世界。
  • 他の選択肢を見ることで、自分が本当に行きたいと思っているか知ることができる。

今後もこのブログでは、デザイナーやデザイナーを目指す人にとって有益な情報を発信していきます。

ご興味があればまたのぞいて見てください。
今回は以上です。

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